ピロリ菌外来

About pylori

ピロリ菌は、正式には「ヘリコバクター・ピロリ」と呼ばれ、胃の中での生息が可能な病原微生物です。胃の中は強い酸性下にあり、どんな微生物にとっても生きていくことが過酷な状況です。ピロリ菌はウレアーゼという酵素を産生し、胃の中の尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解します。この生成されたアンモニアで胃酸を中和することにより、胃の中での生息を可能にしています。

ピロリ菌に胃粘膜が感染すると、粘膜の炎症が起こります。炎症が持続すると、胃粘膜の萎縮がすすんでいき、胃がん発生のリスクが上昇します。ピロリ菌をできるだけい早い時期に除菌することで、胃炎や胃・十二指腸潰瘍の予防だけでなく、将来の胃がん発生のリスクを低下させることが知られています。ピロリ菌により胃粘膜が萎縮してしまう前に、積極的な除菌治療をおすすめいたします。

How to checkup

当院では主に3つの方法でピロリ菌の感染診断を行っています。

  1. 鏡検法
    内視鏡検査時に採取した胃粘膜組織を染色し顕微鏡で観察することで、感染の有無を調べます。
  2. 抗体法
    血液を採取し、ピロリ菌に対する抗体の有無を調べます。
  3. 尿素呼気試験
    ピロリ菌が持つウレアーゼという酵素により、胃の中の尿素が分解され、アンモニアと同時に生じた二酸化炭素は速やかに吸収され、血液から肺に移行し、呼気中に炭酸ガスとして排泄されます。
    尿素呼気試験は、この原理を利用し、検査薬(13C-尿素)を服用して、服用前と服用後の呼気中の13CO2を測定し、その変化量から感染の有無を調べる検査法です(ピロリ菌に感染していない場合は、尿素が分解されないため13CO2の呼気排泄はほとんどありません)。除菌判定にも用いています。

Sanitization treatment

ピロリ菌の除菌治療には、胃酸の分泌を抑制するお薬と2種類の抗生物質の3つのお薬を用います。この3種類のお薬を1週間服用することで、約9割の方は除菌に成功すると報告されています。除菌終了4週間後以降に、尿素呼気試験による除菌判定を行います。

除菌不成功の場合は、薬の一部を変更し、2回目の除菌が可能です。
2回にわたる除菌治療が不成功の場合でも、希望される方は、自費診療で3回目の除菌治療が可能です。

Follow-up after sterilization

ピロリ菌の除菌に成功しても、まれに胃がんが発生する場合があります。ピロリ菌に感染している期間が長いと、胃粘膜の萎縮がすすんでいるためです。
ピロリ菌の除菌後も定期的に胃の内視鏡検査を受けることが大切です。